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ショパン国際コンクールが終わりました
こんにちは。長崎市のピアノ教室スタジオアポロ主宰の野中です。
ご訪問ありがとうございます。
さて5月の予備予選から始まったショパン国際ピアノコンクールも、先日のファイナルをもって幕を閉じました。
一次から三次までの配信を楽しみながら、特に10月に入ってからは世界中のピアノファンと同じ空気を共有しているような楽しい日々でした。
ファイナル最終日は深夜スタートでリアルタイムで聴くことはできなかったものの、結果発表が遅れていたためその間にアーカイブを追いかけました。
ファイナルの課題は、ピアノコンチェルトの前に幻想ポロネーズを演奏するという非常に過酷な内容...。
一次から三次を通してすでに膨大なレパートリーを披露してきたコンテスタントたちの精神力の強さに、改めて尊敬の気持ちを抱きました。
結果発表は配信で見守ることができ、コンクールは終了。
受賞された皆さまはもちろん、参加したすべてのピアニストに、心からの拍手を送りたいと思います。
前回のブログで「結果を観る前にどうしても聴きたい」と書いたのですが、やはりあのとき無理してでも聴いてよかったと感じています。
結果が出てから聴くと、「これが◯位の演奏なんだ」「これが“勝った”演奏なんだ」とどうしても先入観を持ってしまいますが、何も知らずに耳を傾けると、純粋に私はこの音楽好きだな、と思える瞬間がたくさんあり。
それはとても幸せな体験でした。
個人的には、一次の桑原さん、三次の牛田さん、Tianyao Lyuさん、そして一次〜三次通してZitong Wangさん、ファイナルではKevin Chenさんの演奏が特に印象に残っています。
どの演奏にも、それぞれの美しさと個性がありました。
今回はファイナリストの中から1位〜6位、そして参加者の中から特別賞が与えられましたが、きっと僅差だったでしょう。(審査員が違えば結果が変わることもあったはずです。)
コンクールは順位が付く場ではありますが、それは誰かを優劣で分けるためではなく、音楽を通して「伝える力」や「表現する勇気」を磨く場でもあるのだと思います。
そしてその挑戦と努力が、次の世代の子どもたちに「ピアノってかっこいい!」「こんな音が出してみたい!」という憧れを魅せてくれるはずです。
そうして広がっていく音楽の裾野こそ、私たち教育に携わる者が見つめたい風景です。
(とはいえもちろん国際コンクールにおける順位や肩書きは、ピアニストにとって、そして業界全体へも大きな意味を持つものだと思います。
それらは演奏会の機会を得るための名刺であり音楽の世界を広げる入り口でもあります。
そういった意味で、コンテスタントたちのこれからの活躍をずっと応援し続けたいです。)
そして最初にも書いたようにそもそも私はダン・タイ・ソンが大好きで目指している音であるので、彼の音や彼の門下生の演奏が好きなのは割と自然なことで、個人的には納得の結果ではあったけどそうでない方もいるかもしれないですね。
ただ音楽は国境も言語も超えて存在しますが、文化的背景や感性の違いを理解しようとする姿勢なくその本質には近づけないと思います。
特に違う言語、地域の文化であるクラシック音楽をアジア人の日本人が学ぶうえで(ましてや最新の演奏に触れにくい長崎で)そこにリスペクトと理解しようとする気持ちが不可欠だと考えています。
ピアノ教育においても、テクニックの習得と同じくらい、他者の表現に対して敬意をもって耳を傾ける心を育てることが大切です。「こうでなければならない」という一方的な価値観ではなく、「こういう音も美しいのだ」と感じ取れる柔軟さ。
今の環境に置ける、自分の考える正しさを思い込まずに、色んな価値観に触れながら学んでいく姿勢、それが学びを豊かにしひとりひとりの個性を育む力になると信じています。
音楽の道に正解はありません。
大切なのは、自分が信じる音を誠実に探し続けること。
コンクールを通じて、ショパンの作品に対する新しい感覚やアイディアを得ることが出来ました。
(またこっそり彼らの情熱に感化されてショパンの楽譜を開いている最近です...)
今回感じた多くの学びを胸に、これからも生徒たちとともに、音と心を育てていきたいと思います♪




