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映画『ピアノフォルテ』を観ました
こんにちは。
長崎市のピアノ教室スタジオアポロ、主宰の野中です。
ご訪問頂きありがとうございます♪
以前から気になっていた映画『ピアノフォルテ』。
広告を見かけて心惹かれていたところ、長崎ではセントラル劇場で上映されると知り急いで観に行ってきました。
この作品は、前回のショパン国際ピアノコンクールに密着したドキュメンタリー映画です。
配信やアーカイブで見るステージ上の彼ら(彼女ら)は、まさに「天才」と呼ぶにふさわしい存在...完璧な技術と集中力で膨大なプログラムを弾きこなし、ステージの上ではまるでスーパースター。
 
けれども、カメラは舞台裏の静かな緊張、弾き始める前の浅い息遣い、恐怖や不安の表情を映し出します。
その一つひとつが胸に迫り、気づけば序盤から涙がこぼれていました。
予選で敗退し、深夜にスーツケースを引いてホテルを後にするコンテスタント。タクシーの中で「家族に伝えたくない、国に帰りたくない…」とつぶやく姿には、言葉にできないほどの切なさがありました🥲
一方で勝ち残った人たちも、ステージを重ねるごとに張り詰めた表情へと変わっていきます。
指導者も家族も本人も疲労の中で、ひたすらピアノに向き合います。
その姿を観ると素晴らしい演奏の裏にあるのは、幼いころから積み重ねてきた血のにじむような努力、そして音楽と真剣に向き合うことの恐怖だったのだと痛感しました。
作中ではピアニスト本人たちも「コンクールは本当に必要なのか?」と話します。
有名な国際コンクールで受賞すれば、その後のキャリアに繋がり、世界中の観客を惹きつけることもできる。
その一方で、限界まで心と体を削りながら音楽を磨き上げる彼らの姿を見ると、“表現するため”に音楽があるのだという当たり前のことを改めて思い出させられました。
それでもやはり、コンクールという場があるからこそ、私たちはこれほど心を震わせる演奏に出会うことができるのかもしれません。
ちょうど今回のショパンコンクールも詳細の点数が発表されたとのことで興味深く観ているのですが、どのタイミングの審査でも満場一致というものは決してなく音楽に点数を付けるのは本当に難しいものなんですね...。
きっとそこにあるのは「勝ち負け」ではなく、音楽に人生を懸けた人たちの祈りのようなものかもしれません。
映画を観て改めて彼らの奏でる音の一つひとつに、心からの敬意と感謝を感じました。
ピアノを教える立場としても、演奏する一人の人間としても、音楽と真摯に向き合う姿がこれほどまでに強く、残酷で美しいものだと改めて感じた時間でした。







